そもそもこれは、恋愛の映画じゃないんだ。
パッケージがいかにも恋愛風で、
あれを見たほとんどの人が、
運命の女性とのストーリーだろうなって、
思って見始めると思うんだけど。
はじまりは、恋愛映画風。
ぱっとしない男性の、回想シーンから。
そして、このぱっとしない男性、
とんでもなく素敵なところに住んでる。
おうちでサンドイッチを作って、
それをラフにカゴかなんかに入れて、
ふらっと庭に出るみたいな感覚で、
砂浜に出られるおうち。
そして、なにより、
個性的で、魅力的なご家族。
そのおうちすぐそばの海に、
そのご家族は、
毎日、みんなで行って、
軽いものを食べたり、
石を投げたりして暮らしてる。
なんですか、それは。
楽園ですね。
ヘイブン。
そうこうしていますと、ついに、
男性は女性に出会います。
あっけなく振られるよね。
自分の持てる特殊技能なんかを駆使しても、
あっけなく振られるよね。
まぁ、でも、それはそれ。
田舎町の海辺の素敵なお家を出て、
心機一転、ロンドンで始まる新生活。
新しい仲間と、素敵な恋の予感。
運命の女性とついに巡り合って、
なんとしても、
彼女と親しくなりたい、
なんとしても。
男性は悪戦苦闘、
それがいつしか実を結び……
恋愛映画ですね。
ぇぇ。ぇぇ。
これは素敵な、王道恋愛映画です。
ここまではね。
物語は起承転結の、転、に突入です。
ここから先になにがあるか、
それはねぇ、人生です。
ここまで、触れてこなかったんだけど、
タイムスリップがね、
できますよ、この男性ね。
そしてこの映画、
大事なのはこの先の後半です。
なにがあるかは、
見てもらえばわかるから、
割愛しますけども、
わたしが言えることは、
「センシティブな内容を含む表現箇所がございます」
「鑑賞の際にはご注意ください」
ということ。
最後に、
実際にわたしがどういう状態になったか、
念のためにお伝えしておきますね。
「途中で一度再生を中断せざるを得なかった」
「呼吸ができなくなって、死ぬかと思った」
です。
くれぐれも、ご注意ください。
評判通りの、
場合によっては、評判以上の、
すばらしい映画でした。
そして、見終わった後、
もう一度、この文章の最初の方を、
読んでみてもらえると、嬉しいです。
アバウト・タイム~愛おしい時間について~
2013年 イギリス
リチャード・カーティス監督
ドーナル・グリーソン
レイチェル・マクアダムス
ビル・ナイ