映画・ドラマのおはなし

大事な映画と、そのグッズ。

毎日目につく棚に、
ずっと置かれたままで、
一度も使われたことがない、
STANLEYのフードジャー。

何年も前にいただいたものなんだけど、
いつでも同じ場所にあって、
毎日わたしに眺められることが、
役割みたいなSTANLEY。

きのこです。

なぜ、きのこは、
いま大人気のフードジャーを、
リゾットを作ったり、
スープを作ったり、
おかゆを作ったりするために使わず、
ずっと棚に飾っているのか。

それはですね、
これを見ると、
わたしが大好きで大好きで仕方がない、
ある映画のことを思い出すからです。

『ザ・コンサルタント』
ベン・アフレック主演の、2016年の映画。

わたしは、ベン・アフレックが、
ベン・アフレックじゃないベン・アフレックを、
この映画で初めて見ました。

身体が大きくて、男らしい、
気が強くて、弱いところもあるけど、本質的には強い男。
いい意味でも悪い意味でも、
ベン・アフレックは、ベン・アフレック像を、
大事にしている俳優さんなのかと思ってました。

だから、どの映画を見ても、
そこにいるのは、常に、ベン・アフレック。

それが、この『コンサルタント』のなかの、
ベン・アフレックは、
わたしの知ってるベン・アフレックじゃない。

人の目を避けるように彷徨う視線、
おしゃれ度を排除した、古典的メガネ、
大きな身体に斜め掛けのカバン。

対して、
小柄で愛らしい、リスみたいな、
アナ・ケンドリクスとの組み合わせが、
信じられない、
信じられないほど、すてき。

この映画は、
派手なアクションと銃撃戦で、
無敵のベン・アフレックが活躍する映画、
では、全然なくて、
厚みのある、ヒューマンドラマです。
登場人物の全員が、
今のその人になるまでの、
大事な道のりのおはなしだと、
わたしは、この映画を、解釈しました。

ある時期、
何度も何度もリピートで再生して、
見続けたくらい、
ぐっさり刺さった映画です。

STANLEYは、
この映画の重要なエピソードを象徴する、
大事なアイテムで、
いうなれば、これは、グッズであり、
まぁ、ある意味で、フィギュアみたいなものです。

だから、うちのフードジャーは、
今日も食材を入れてもらうことなく、
棚に飾られています。

……映画に出てたのは、フードジャーじゃなくて、
真空ボトルだけどね……。

STANLEYのおはなしかと思ったら、
1本の映画のおはなしでした。