きのこです。
辞書、持ってますか?
持ってる人もそもそも少ないかもだし、
いまどき辞書を使ってる、なんて人は、
まぁ、希少な存在かもしれませんが、
きのこは、辞書、引きますし、
なんなら、ときどき読みます。
少し前なら、
「辞書を読みます」っていう人、
いたと記憶しています。
最近は聞かなくなったけど、どこ行ったんだ。
地下に潜ったのかな。どうだろう。
きのこの愛読辞書は、
三省堂『新明解国語辞典 第七版』。
通称、「新解さん」。
国語辞典として、かなりのシェアを誇る、
新明解なんですけど、
とても個性の強い国語辞典です。
とにかく「明解」を目指してます。
知らない言葉を知らない言葉で説明されて、
「……はて」となる利用者を根絶したい、
すごい熱意を感じる辞書です。
詳しく、なるべく誰にでもわかるように、
言葉ってものを教えてあげたい、
平易な表現で、ぴんときてほしい、
突き詰めていった結果、
素晴らしい辞書になったと同時に、
ちょっとヘンテコな辞書になった。
具体的な例とか、日常的な例なんかを、
どんどん採用して、
詳しく平易な表現を心がけていった結果、
編纂してる人の気配が前面に飛び出た。
その結果、「新解さん」と、みんなに愛でられる存在に。
最初に新解さんを手にしたのは、
おそらく中学生のきのこです。
すごくわかりやすかった。
例文も日常的で、文学的な表現も多くて、
きのこに日本語を教えてくれたのは、
新解さんに他なりません。
あまりに親しみやすい、
あまりに個人的な好みや考えが前面に出てるので、
誰かに言葉を教えてもらってる感覚です。
そして、ときどき、ちょいちょい、
新解さんは行き過ぎちゃう。
例えば。
死語という言葉。
その語によってあらわされる事物がなくなったりした関係で、
『新明解国語辞典 第五版』
現在は用いられなくなった言葉。廃語。
(略)
例、家庭における「しつけ」など。
手厳しい。
言い切っちゃった。
ちょっと言い過ぎたかな、って思ったのか、
手元にある第七版では、
例、「蚊帳」
となってます。
言葉を学ぶ辞書としては、
たしかに行き過ぎた表現もあるけど、
そんなわけで、とても面白い。
食べ物や恋の項はとくにファンが多いです。
辞書は時代によって、言葉自体を入れ替えたり、
説明の文章を書き替えたりして、
常に更新をしています。
このあたりのお話は、
映画『舟を編む』でも描かれています。
ただ、新解さんだけは、
新しい版が出ても、古い版の価値はなくなりません。
もはや、辞書自体が、文学的な魅力を持っています。
わたしの手元にあるのは、
第五版と第七版だけで、
六版を紛失しています。
とても残念。
古本で手に入るうちに欲しいです。
日本語に関する便利な本も、
今はたくさんあるけど、
辞書は膨大な数の言葉の例文、用法が載っていて、
それであの値段です。
コストパフォーマンスに優れた、
ベストセラーです。
日本語の勉強に、辞書、どうですかね。