Twitterで、週に1本課題作品を決めて、メンバーがそれについて感想を述べあう、という、コミュニティに参加しています。(「映画好きの今週の映画」を観て映画感想文を書く会)
参加した回の感想文のページです。
ヒッチャー
謎の凄腕サイコヒッチハイカー男につきまとわれ、いやがらせの連続。それもまぁ、尋常じゃない嫌がらせ。周りでダース単位で殺されていく人たちの存在感のなさもすごい。
名作といわれるだけあって、「思ってたより古臭いな……」から始まったのに、15分後には、「うーむ、ひどい不条理ぃ……(褒めてる)」。サスペンス、ホラーのお約束なんかお構いなし。ただこれ、ジョンとジムって、同一人物なんじゃない?『ファイト・クラブ』みたいにさ。
※某映画のネタバレと、目にしてしまったら完全に面白さ半減させてしまう一文のため、読んでもいいな、って人だけ反転表示させてね。(古き良きインターネットのお作法)
この映画を当時見た人たちが、ハイウェイが怖くなったって話、よくわかる。誰もいない、誰も助けに来てくれない、誰も自分を信じてくれない、殺されそうになっているのはいつも自分の方なのに。
実際、ヒッチハイクは怖いね。数々の映画が警鐘を慣らしているよね。しつこく追い回してくるヒッチハイク男と遭遇したり、黄色いエプロンの男と遭遇しちゃう可能性だってあるんですよって。
見終わって、「あー、あの映画みたいだな」と思って浮かんだのは、『複製された男』。いや、全然違う映画だよ?でもこう、そういう感じ。そういうふうにあなたが解釈したならそれでいいんですよ、って感じの後味。
天使のくれた時間
みんな大好きニコラス・ケイジが、欲しいものなんてなんでも手に入る、って人生から、人生の岐路で別の道を歩んだあちら側へ飛ばされちゃうよっておはなし。
ケイジが経験した、ふたつの人生は、とても分かりやすくて、どちらの人生がどちらの人生にチェンジしたとしても、ほんの数日数週間なら、こちらの人生も素晴らしい、と思うと思うんだ。ただ、人生は続く。そういう意味で、元の自分の人生に戻ってから、あちら側でかけがえのない存在だったものを取り戻そうと試みる、っていうのは、実にベストな、パーフェクトに近い結末だったと思う。彼の人生にとって。
「あの時、あっちの道を選んでいたら……」って思うこと、ある?
わたしはほとんどない。だから、むしろ、その岐路はこれからやってくるんじゃないかって、ビクビクしてる節すらある。怖いわ、むしろ、ホントに。
それはそうと、この映画でわたしが一番気に入ったシーンは、天使(ドン・チードル)がお店のレジで、お客さんから1ドルを受け取って9ドルをお釣りとして渡し、そのまま9ドルを懐に入れたのを見て、呆れながら小さなメモ帳に何かを書きつけるシーン。わかるぅ。人の善と悪って、だいたいのシーンで大正義と邪悪、って分かれてるわけじゃなくて、こういうことよなぁ、と思った次第です。
アイアン・ジャイアント
詳しいことはわからないけど、空から落ちてきた、心優しい、アイアンなジャイアントのおはなし。
これはとても個人的な意見なんだけど、おおよそ00年あたりを境に、映画は大きな変化があった思う。よりスピーディーでより情報が多くよりリアリティを感じられるスタイルが映画の主流となった印象。
そして、この映画は、その境目の、訪れる直前の映画。
すでに、境目以降の映画を20年見続けてきたわたしたちにとっては、これは、いささか古びた印象の残る映画かもしれない。
ただそれは、劣っているという意味ではない。
ストーリーは王道でシンプル、アニメーションのスタイルも、古き良きディズニーを感じさせる茶色の主線、こどもとヒーローと悪いやつ(善悪ははっきりしないが、感じの悪いやつという意味合いで)。
優しい大きいものはとにかくかわいい。ふわふわしてなくて鋼鉄だろうとそれは同じ。とてもかわいい。意思の疎通ができなかったかわいい大きいものと、だんだん分かり合えてきて、いつの間にか言葉まで通じるようになって、それがなんと、ヴィン・ディーゼルの声だったとしたら、それはもう、完全に良きものですよ。
でも、きのこは、すでに境目以降の映画に慣れてしまっているから、あー、これ、いまリメイクとかしたら、すごいおもしろいかなー、もちろん声はヴィン・ディーゼルで。と思う。
ヴィン・ディーゼルの声っていいよね……ほら、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の、グルート(大人のタイプ)とかさ。グルート(大人のタイプ)めちゃめちゃいいよねぇ……。「I am Groot.」しか言わなかったけどさ。特にあの、噴水の水を飲んだか飲んでないか、みたいなシーンがすk……
ブラックブック
戦争に翻弄され、隙間を縫うように生き延びた、女性のおはなし。
悪意に当てられて、何度も中断。
見終わるまで何日もかかってしまった。
戦争というのはそういうものなんだろう。
戦争映画には必ず敵味方、いい人悪い人がいて、ちょっとひどい理不尽が横行している。
人が自らの経験からしか学べない生き物なんだとしたら、過去のこういったエピソードをいつまでも反芻するのは無意味で悪趣味なだけだろう。ただ、わたしたちは違うからね。学ぼう。おおいに学ぼう。
大波になってしまえば、抗うことは不可能だ。そのもっと手前、さざなみの段階で、これを思い出せる人でありたいと思う。
LOOPER
近い未来。もっと遠い未来からやってきた殺害対象者を、秘密裏に処理するための、殺し屋、ルーパー。彼らの最後の仕事は、みな同じく、遠い未来からやってきた自分自身を殺害すること。そして、今日は、自分の番。
タイムリープものに対して、どうしてか人は厳しい目を向ける傾向があると思うんだけど、この作品は、注目すべきところとスルーしていいところをしっかりと線引きして提示してくれるから、ただ言われるがまま、へー、えー、そうなのー?わーー。と素直に楽しめばいい、親切設計。
細身の、頭の良さそうな、どこか青臭い、いつものジョセフ・G・レヴェット。
それでも、今日は一風変わった、チャーミングな殺し屋だね。ふむふむ。素敵。いつもよりちょっとクラシカルな演技かしらね。ふむふむ。
おや、待てよ……初めてこの映画を見たあの日のわたしは、エイブの部屋に入ったジョセフを見て、ようやく気がついた。
……これは、ブルース・ウィリスだ。
メイクももちろんあるけど(わかりやすい困り眉メイク)、口の周りとか、頭を傾げる角度とか、頷き方とか、完全なるブルース・ウィリスのコピー。
ブルース・ウィリスが登場した後のジョセフは、困り眉を残して徐々にジョセフに戻っていくけど、何度見ても、序盤のブルース・ウィリスなジョセフ・G・レヴェットは恐ろしいくらいのブルース・ウィリス。ジョセフ怖い、なにこれ、怖い。素敵。
この映画は、1回目はチュートリアル。本当に面白いのは2回目以降。全部わかったうえで、もういちど見てもらいたい。
もし、この映画を見て、ジョセフなんちゃらって人、いいんじゃない?と思ったら、次は『インセプション』を、そのあとは『50/50』を、ぜひ見て欲しい。
9人の翻訳家 囚われたベストセラー
出版前の大人気シリーズの新刊、原稿流出を止めたければ、ちょー大金払いやがれ、この金の亡者が!というお話。
設定は現代的、全体的なテイストとしては、古き良きミステリー映画。
筋がしっかりしてて、脇役含め、全体が結末に向かってグググーっと流れていく、少しずつ見えてくる真相に、ちょっとしたアハ体験も感じられて、これぞ王道ミステリー。
ほうほう、へー、えーー!わぉ、いやいやいやいや、ファッ……(満喫)ほぅ、おもしろかった。ふぅ。(見終わった)
アレックス、アレックス・ロウザー。
彼の登場のシーン、ベンチで眠る彼。
「……あれ、これ、『このサイテーな世界の終わり』のジェームス!」ジェームス!ジェームス!ものすごい好みで、すごいインパクトだったのに、他の作品全然見てなかったけど、キタコレーーーー!
正直、アレックス・ロウザーに夢中で、多分、映画の大事なところ、見落としたりスルーしたりしたと思うんだ。でも、予備知識なしで、見たらいきなりアレックス・ロウザーが出てきたんだから、これはもうしょうがない。事故みたいなもん。いや、ホントにね、wikiもないんだよ?あんなに素敵なのに、ほぼなんの情報もないんだよ?SNSもやってないんだよ?『フレンチ・ディスパッチ』に出てるって?もうさ、ウェス・アンダーソン、どこまでわたしの好みの俳優さん並べれば気が済むのよ。ありがとうございます。
9人の翻訳家 囚われたベストセラー 公式サイト
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ザ・スイッチ
ただタイツの色がダサいだけで、ちょーかわいい女子高生が、伝説の殺人鬼と中身が入れ替わっちゃった!?っていうおはなし。
殺人鬼役のヴィンス・ヴォーンがとにかくかわいい。
油ぎって歯の黄ばんだ殺人鬼に女子高生がうっかり入ってしまえば、次の瞬間にはかわいく見えてくるし、似たような話としては、ゲームのキャラ選択がうまくいかなくて、小太りの男性の中に女子高生が入ったらやっぱりとてつもなくかわいい、みたいなのもあるよね。
そりゃ、狭い車の中でキスを迫ったりしたくもなるってもんですよ。
あと、鼻歌まじりにシャワーを浴びるシーンなんてもう、リピートで見てもいいぐらいのいいシーンですから、見逃さないようにね。
かわいいは見た目だけの形容詞ではない。
これは、そんな大事なことを教えてくれる、素晴らしい映画。
ヴィンス・ヴォーンといえば、『ファイティング・ファミリー』で、トレーナーの役をやっていたと思うけど、頭の切れる大人の男って感じだったから、振れ幅がすごくてこの役にはとてもときめいた。ヴィンス・ヴォーン、もっとたくさん見たいなぁ。
シェフ 三ツ星フードトラック始めました
かつてのカリスマシェフ、SNSの仕組みがわからず大失態。フードトラックでどん底から再スタートするよ、みたいなおはなし。
中年シェフの再起のおはなしなんだけど、(1人を除いて)嫌なヤツが出てこない。こういう映画にありがちな、うまくいきかけて、かーらーの、トラブル、みたいなこともない。なのにどうして、全然甘い夢見がちなお話じゃない。無駄に泣かせたり、ハラハラさせたりしない。カールも開花していったりしない。最初から最後まで、ひたすらに料理が好きなシェフのまま。それなのに、どうしてか、見ている自分のなかには、少しずつ、元気というかやる気というか、がんばる種火みたいなものが広がって、見終わる頃には、自分がやるべきことをがんばれる元気が手に入ってる。これぞ、わたしにとって、最高の、元気になれる映画。
監督・主演は『アベンジャーズ』のハッピーことジョン・ファヴロー監督。
彼の演じるカールの、セクシーなことといったら。滲み出る偏屈さ、ストイックさ、弱いさと強さ。序盤、スカーレット・ヨハンソンにパスタを作るシーンなんて、どこを切り取っても、ダダ漏れてくるセクシー。スカーレット・ヨハンソンがちょっと負けてる感じすらあるからね。そして出てくる元妻。元妻の父。元妻の元夫。もう、セクシーのインフレ。
これは1本の偶然の傑作じゃないよ?あの歴史に残る名作『アイアンマン』の監督だからね。偏屈なセクシーを撮らせたら、世界一。
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エール
耳の聞こえない家族のなか、ひとり耳が聞こえる女の子と家族の物語。
「耳が聞こえない家族」の響きから想像するものではない、特別ではない家族が描かれているところが好き。子供が年頃になって、家族だけの世界と、外の世界とのはざまで苦悩する、突然見出された才能に困惑する、スケールは違うけど、うちも、あなたのおうちも、みんなが通ってきた道。
わたしが好きなシーンは、車でパリに行こう、と好きな男の子から言われたポーラが、あっさりと断ってもっとマシなことをする、と立ち去るシーン。この流れ、セオリーで言えば、気乗りはしないけど付き合ってトラブルが起きる、もしくは恋愛が進展する、でしょ?それが、とてもあっさり断るポーラを見て、ぁぁ、いいなぁ、ここで断ったら……なんて考えずに、自分の気持ちで行動できるって大事だなぁ、と。
毎日次々と襲ってくる、こういう小さい決断が、積み重なって積み重なって、自分が出来上がっていくと思うんだよね。だから、あのシーンで、あの行動をあっさり選択できるポーラに対して、ぁぁ、信用できる子だなぁ、と思ったわけです。
きのこがポーラの立場だったら、絶対ついていったね、ああ、なんかちょっとヤだけど、でもチャンスだよなぁ……とか、グズグズ考えて。未熟だねぇ、きのこ。
JUNK HEAD
遺伝子操作でだいたい死ななくなった代わりに生殖機能がなくなってしまいましたので、生殖のヒントを求めて地下の世界に探検に行きますよ、というようなお話。
オール手作り、変態アニメーション。(最高レベルに褒めている)
高熱が出たときに見る夢みたいなものが、ここに完成。
ふわふわしてて、明るいけど暗くて、手触りとかそういうものがどっか偽物っぽくて、残酷でグロい。
キャラクターが全員、とびきりかわいくて、それぞれがみんな、本当に、生きてる。
不完全で、スマートじゃなくて、なんかもう、地上にいる「人間」よりも、ずっと人間くさい。かわいい。
話している言葉も、昔見た、遠くの外国みたいな、へんな響きのかわいい言葉。
地下の村なんかも含め、ほぼ全部、リアルで手作り。信じられない。塗装も自分でやってる。信じられない。衣装も装置も自分でやってr……信じられない。最先端技術とかじゃない、ローテクと時間と根性を駆使してつくられてる。
クレイアニメーションとか、チェコや旧ソ連のアニメーションとか、そういったものにかわいさを見出す人は、見るべき作品。ニコの赤いコートとか、ニコのエピソードとか、まさにもう、それっぽい。最高。
ねー、アッポンチョ(はーと
作品自体はこれから作られる2本を含めた3部作。
グッズ類の売り上げは、次作の資金となる。買う。
『JUNK HEAD』を見た後、わりとたくさんの映画を見たくなりました。
『エイリアン』『ヘルレイザー』『不思議惑星キン・ザ・ザ』『チェブラーシカ』『ファンタスティック・プラネット』『ファウスト』……
好きな映画を見ると、次はあれ、次はあれ、って連鎖が止まらなくなりませんか。
ボブという名の猫 幸せのハイタッチ
きれいなトレインスポッティング。 実話ではあるけど、ファンタジー寄りの人生やり直し物語。チャンスって、常に紙一重で、あの夜が人生最大の分岐点。あの程度のがんばりが人生を救うんだよなぁ……。そもそも、人生の再起がネコちゃん頼みすぎるけど、まぁ、ネコちゃんだからね。頼れるもんね。結論、ネコちゃん。